らくゆう会教育への取り組み
挨拶
昨今、地域包括ケアシステムの構築推進において、高齢者の「住まい」である住宅型有料老人ホームの役割や、認知症高齢者の対策、医療・介護の重度化高齢者への対応等、安心した生活の継続を求めるニーズは高まっています。
まだまだその機能を十分に発揮できているとは言えませんが、社会との積極的な関わりのなかで生活を充実させることが重要であり、ご入居者様・家族様、地域、施設との結びつきを大切にし、「住まい」としての機能の拡充と、「安全で自由な暮らし」の実現に向けた施設づくりに尽力していきたいと考えております。
「個々の思いを尊重し、思いやりのある介護・看護の提供」をモットーに、スタッフ一丸となって取り組み、ご入居者様・ご家族様の思いに寄り添い、安心・信頼のおける施設となるよう日々邁進いたします。
また、これらご入居者様・ご家族様一人ひとりのニーズに応え、その自立生活を実現するために、介護サービスを生み出す資源としての「人財」を重視し、真に活力と向上心あふれる感受性豊かなプロフェッショナル集団を育成するべく、らくゆう会では、キャリアパス制度・介護プリセプター制度・委員会制度を導入し、教育研修制度の体系化と推進を図っています。
今後とも、皆さま方からのご指導・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
株式会社グリーンケア
GM/介護事業部統括本部長
吉田 直人
教育制度・キャリアパス
成長に沿った働き方・資格取得や経験に応じたキャリアパス
基礎的な能力+時代のニーズに合致した能力とが、プロフェッショナルとしての能力です。
統一された年間スケジュールに沿って、チームの一員として主体的に機能できるスタッフを
育成します。
キャリアパス制度
はじめに
キャリアパスとは、「職務経歴上の道筋」を意味し、一人ひとりの職員にとっては、その施設における自らの歩むべき道筋を描きながら、将来に向かって努力し、キャリアパスの階段を昇っていくものという定義がされています。
弊社のキャリアパス制度は、下記の「目標管理」「制度研修」「人事考課」「自己啓発」「職員処遇」の5の柱から成り立っています。
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1.「目標管理」とは、職員一人ひとりが自ら設定した「自分にとって望ましい目標」を、組織理念・方針・目標とリンクさせながら、達成に向けたサポートをしていきます。
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2.「制度研修」を行い、そのことにより、施設職員、訪問介護員としてのあるべき職員像に向けた成長を目指していきます。
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3.「人事考課」という尺度で、職員の業務における頑張りを上司含む、一つ下のステップの者も評価する多面評価を行い、育成面接によって更なるスキルの向上を図ります。
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4.「自己啓発」を活用することにより、自らが自らを磨くために資格取得や教養、学びたい気持ちを支援していきます。
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5.「職員処遇」は上記の4つを踏まえて、昇給・昇格、賞与への反映が行われます。
目標管理
目標管理ファイル
目標管理シートや研修資料、その他習得した業務「学習歴」「活動歴」「実績歴」等の資料を目標管理ファイルにまとめ、「知の成果物」とする。
また、このファイルは「職員処遇」の際、年度末に本部へ提出し、人事考課の対象となる。
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らくゆう会年間計画
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らくゆう会組織図
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らくゆう会キャリアパスモデル
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らくゆう会キャリアパスプログラム
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研修年間計画
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目標管理シート
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成長報告書
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研修受講記録
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介護基礎技術ハンドブック
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ステップⅠ評価シート(新入職者のみ)
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1日の振り返りシート
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研修資料
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人事考課表
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人事評価尺度基準
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認定証書
制度研修
OJT(職務を通じての研修)研修
新入職員(プリセプティー)は、先輩職員(プリセプタ―)が、原則として2ヶ月、職務を通じてまたは職務と関連させながら、みっちりとマンツーマンで指導及び育成の研修を行います。
また、新人教育フローチャートに基づき、職務の到達及び習熟度の振返りを行います。
OFF-JT(職務を離れての研修)研修
施設内研修として、倫理研修、制度・サービスの理解、感染症、高齢者虐待、身体拘束廃止、リスクマネジメント・KYT・褥瘡予防・認知症・防災・介護技術や資格取得のための講座などの定期的な研修を外部講師や教育責任者が講師となって、職務命令によって参加し、スキルの向上を図ります。
SDS(自己啓発援助制度)
ハード面の施策として、自主研修や資格取得に伴う費用を補助する等の「経済的援助」、職務免除などによる「時間的援助」。
ソフト面の施策としては、「資格取得の奨励」、「研修情報の提供」等を行っています。
人事考課
情意考課
情意考課(らくゆう会の求めている社会人としてのあるべき姿や姿勢などを考えていきます)として、規律性・協調性・積極性・責任制などの項目について、自己評価及び他者評価(一つ下のステップの者)、その他、上位職員による評価を行っていきます。
能力考課-共通項目
能力考課-共通項目(施設業務全般に関わる業務等)として、リスクマネジメント対応・人材育成・業務改善・各種会議委員会・日誌記録・接客接遇・環境整備などの項目について、自己評価及び他者評価(一つ下のステップの者)、その他、上位職員による評価を行っていきます。
能力考課-専門項目
能力考課-専門項目(職務に応じた業務内容全般等)として、介護介助・移動関連・介護技術・カンファレンス・緊急時・行事計画・備品管理などの項目について、自己評価及び他者評価(一つ下のステップの者)、その他、上位職員による評価を行っていきます。
成績考課-目標達成
成績考課-目標達成(業務やスキル向上のための目標設定)として、年度はじめにそれぞれの職員が、自分で考え、上司との育成面接の上で決定した目標を達成するために、日々の業務を行ってもらいます。 以上の4つの考課について自己評価を行った上で、他者評価(一つ下のステップの者)と職場の上司が評価を実施し、その評価を受けて育成面接を行い、結果をフィードバックすることによって、各職員の頑張っている点や今後期待する内容が明確になり、更なるスキルなどの向上を促していきます。
半年毎の面談、年1回の人事考課を繰り返すことにより、各職員が、らくゆう会及び施設の目指す職員像に近づいていくことになります。
自己啓発
自己研鑽制度
これは、職員が自分のスキル向上のために、「こんな資格をとりたい」「この書籍を購入して学びたい」「こんな研修に参加したい」という職員の自発的なスキル向上を支援するために設けられた制度で、結果の成否は問わず、職員のやる気を起こさせる制度です。
職員処遇
人事考課による評価や制度研修によるスキルの向上、自己啓発による資格取得などを行うことにより、各職員が、らくゆう会及び施設の目指す職員像に近づき、トータルした評価が、賞与への反映や昇給・昇格が実施されます。
また、各ステップに応じて、らくゆう会独自の認定証書も付与されます。
キャリアパスの流れ
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STEP1:
「配置」
職員を採用後、本人の希望も加味しながら、各施設(ポジション)に配置します。 -
STEP2:
「育成」
配置後における役割・職務内容に基づいて育成・指導を行います。 -
STEP3:
「評価」
一定期間内において役割・職務遂行度を目標管理シートに基づき、フィードバック面接を行って、評価をします。 -
STEP4:
「処遇」
その後、評価結果(人事考課表)に基づいた、処遇(昇給・昇格)を検討し、再度、適正な配置・役割・職務内容を行います。
以上のSTEP1~4のサイクルが回っていくことになります。
業務の目標設定によるサイクル
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PLAN(計画)
仕事内容等の目標設定やサービス内容等の計画の立案
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DO(実施)
計画の徹底や実行、実施
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CHECK(確認)
結果確認、評価や課題の明確化
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ACTION(行動)
不具合があれば応急処置を行い、良い結果が得られるよう再発防止策を実施する
介護プリセプター制度
らくゆう会では、指導者(先輩職員)を「プリセプター」、新入職員を「プリセプティー」と呼び、一定期間、先輩職員がマンツーマンで指導する体制をとり、OJTによる業務スキルの習得を現場でより実践的に学んでいただく指導方法をとっています。
新入職者のリアリティショックの緩和や、安心して仕事に取り組めるよう環境を整え、個の成長を施設職員全体でサポートしています。
また、この介護プリセプター制度はキャリアパス制度と連動しており、自らの歩むべき道筋を描きながら、将来の像に向かってスキルアップが図れます。
運営体制
プリセプターのみが担当するのではなく、施設職員全体で新人教育に当たる体制をとり、勤務当日、「何を」「どのレベルまで」「いつまでに」「どのように」教えたらいいのかを、誰がOJTについてもわかるよう、評価シート(チェックリスト)や訪問予定表、ケアマニュアルなどを用いて指導に当たれるよう環境を整備しています。
新人教育 指導の流れ
評価シート(チェックリスト)一部抜粋
①共通
能力ユニット | 能力細目 | 職務遂行のための基準 | 説明 | コメント | |
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企業理念とコンプライアンス | 1.介護保険法、関係法令、諸ルールの内容の把握 | ① | 会社の企業理念、経営方針、行動基準、諸規定等を把握している。 | ||
② | 会社・法人の組織構造、本部と事業所の機能、スタッフの役割分担など、組織に関する基本事項を理解している。 | ||||
③ | ケアスタッフとしての職業倫理(守秘義務、個人情報保護、情報開示、尊厳、人権擁護等)や職務、基本的マナー等を理解している。 | ||||
④ | 介護保険法の概要(介護保険制度の代表的なサービスの種類と内容、利用手続き、財源構成と保険料負担等)について知っている。 | ||||
⑤ | 訪問介護サービスの運営規程、重要事項説明書、契約書等の内容を理解している。 | ||||
⑥ | 介護サービスに置ける不適切事例(介護保険の範囲内で行えないサービス、医療行為にあたるもの等)を理解している。 | ||||
⑦ | ケアスタッフとしての職務内容と、サービス実施のプロセス、介護職の職務内容の特性について理解している。 |
②訪問介護
能力ユニット | 能力細目 | 説明 | コメント | ||
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初回サービスのための準備 | 1.利用者基本情報の把握 | ① | 事前に、利用者の基本情報やケアの手順、ケアを行う上での留意点等の事項を確認している。 | ||
② | サービスを実施する上で、不明な点や疑問点をその場で確認し、あいまいな点を残さないようにしている。 | ||||
③ | 重要なポイントやあいまいだった点はメモをし、業務を確実に遂行できるよう留意している。 | ||||
2.サービスの実施手順の確認 | ① | 事前に、サービスの実施手順を「訪問介護計画」や「手順書」に基づき確実に確認している。 | |||
② | サービス提供責任者または常勤ヘルパーの指導のもと、利用者宅においてサービス実施手順を確実に確認しながら、引き継ぎを受けている。 | ||||
③ | サービスを実施する上で、不明な点や疑問点をその場で確認し、あいまいな点を残さないようにしている。 | ||||
④ | 重要なポイントやあいまいだった点はメモをし、業務を確実に遂行できるよう留意している。 | ||||
⑤ | 初めて訪問する場合は、サービス提供責任者または常勤ヘルパーとの待ち合わせ場所や時間を確実に確認している。 |
③訪問介護(技術)
能力ユニット | 能力細目 | 職務遂行のための基準 | 説明 見学 |
Ⅳ | Ⅲ | Ⅱ | Ⅰ | コメント | |
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訪問介護サービスの実施(移動・移乗介助、体位交換、外出介助) | 1.移動・移乗の準備 | ① | 移動・移乗に必要な福祉用具(ex、車イス、杖、補装具、歩行器等)の扱い方に関する基礎知識を有し、点検・準備を確実に行なっている。 | ||||||
② | 室内の移動ルートを確認し、安全に移動できるよう配慮している(ex、移動の障害となる物品を移動させる、照明をつける、スロープを確保する等)。 | ||||||||
③ | 利用者に、移動・移乗の行き先、方法等について、声かけしている。 | ||||||||
2.移動・移乗 | ① | 移動・移乗介助に関する基礎知識やボディメカニクスの知識を有し、ADLが自立に近く、比較的自力で安全確認ができる利用者に対して、移動・移乗介助を安全に実施している。 | |||||||
② | ベットでの水平、上方、下方移動を適切に行なっている。 | ||||||||
③ | ベッドから車イス等への移乗をスムーズに行なっている。 | ||||||||
④ | 歩行介助の際は、歩くスペースが利用者に合っているか、利用者の身体状況に合った解除になっているか、利用者に不安はないか等、声かけ・観察により確認しながら、適切に行なっている。 | ||||||||
3.移動・移乗後の介助 | ① | 移動で使用した福祉用具の安全確認の点検を行い、所定の場所に確実に戻している。 | |||||||
② | 移動・移乗後、利用者の体調や疲れを確認するとともに、快適に過ごせるように、環境整備に配慮している。 | ||||||||
4.体位交換 | ① | 必要な利用者には体位交換を行い、じょくそうなど観察をして、異常を発見した場合には報告する等適切な対応を行なっている。 | |||||||
① | 利用者が希望する通院・外出を確認し、介護保険との関係を理解している。 | ||||||||
② | ケアプランを確認したうえで、これに則った通院・外出介助を行なっている。 | ||||||||
③ | 移動ルートを確認し、利用者の安全確保を適切に行なっている。 |
介護プリセプターとしての機能
介護プリセプターの機能は、以下のように整理する。
1.上司補佐としての機能
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(1)理念・経営方針と教育目標の関連理解
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(2)フロアーリーダーの目標・方針の指示を受け、実施計画に反映
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(3)業務・指導マニュアルの改善・整備に関する提案
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(4)指導状況を各所へ報告し、指導や助言を求め、さらに問題があれば、上司による面接を要望
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(5)中間評価をし、上司の評価や指導を仰ぐ
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(6)次のステップの計画を出し、調整
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(7)上司を通じ、施設内教育責任者へ新人や自己の学習・研修の機会を提案・依頼
2.プリセプティー(新入職員)への役割機能
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(1)指導計画を立案・実施
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(2)学習への動機づけ
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(3)評価と励まし
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(4)評価後のフォロー
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(5)成長段階で常に精神面で支えとなる
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(6)計画のずれの調整
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(7)社会人としての手本
3.職場メンバーへの役割機能
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(1)代行指導者へ指導依頼
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(2)代行指導者へ経過状況や指導内容などを伝達
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(3)代行指導者からの報告を受ける
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(4)新人の学習テーマをオープンにし、職場メンバーの協力ポイントを明示
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(5)他のプリセプターに助言や支援
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(6)新人に状況報告を「私の努力目標」として宣言させ、協力体制づくり
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(7)各会議で報告し、アドバイスや協力を依頼
委員会制度
目的及び活動内容について
1.運営会議
目的 | 運営全般を通して各事業の課題抽出、検証、改善等のPDCAサイクルを行い、事業全体のサービス向上を目指す。また、職員の働く環境整備についても検討する。 |
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2.施設管理会議
目的 | 両施設及び事業所等、各部署における課題抽出、検証、改善等、業務全般における問題解決を図る。 |
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3.事務会議
目的 | 介護福祉事業部における事務業務・作業等の課題抽出、検証、改善等の問題解決を図る。 |
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4.サ責会議
目的 | 自部署における介護サービス・ケア・業務等の課題抽出、検証、改善等の問題解決を図る。 |
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5-①スタッフ会議(訪問介護)
目的 | 介護の質の向上・改善を図ることを目的とし、介護サービス・ケア・業務に関する事項の協議を行う。 また、運営会議での決議・審議事項及び、各委員・担当セクションからの報告、情報共有を図る。 |
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5-②スタッフ会議(訪問看護)
目的 | 看護の質の向上・改善を図ることを目的とし、看護サービス・ケア・業務等の課題抽出、検証、改善等の問題解決を図る。 |
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6.各委員会
委員会名 | 主たる内容 |
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感染対策委員会 | ・感染症予防のため必要な措置を行う。 ・職員への感染症予防の啓発を図る。 ・感染対策を効果的に実施するための研修を行う。 |
身体拘束廃止・ 高齢者虐待防止委員会 |
・身体拘束の廃止、虐待防止のための啓発活動を行う。 ・身体拘束が妥当なものであるか検討を加え適切に対応する。 |
安全管理委員会 | ・事故防止に向けての検討・啓発を行う。 ・事故発生の際の処理が適切に行われるよう周知を図り、再発防止の ための原因究明と再発防止策の策定を行う。 ・危機管理についての研修を行い、安全管理に努める。 |
環境整備委員会 | ・施設内消耗品の管理・補充、物品の管理整頓を行う。 ・施設内外の環境美化・清掃の点検、実施を行う。 ・施設設備の危険個所の点検と、改善提案を行い事故の防止に努める。 |
広報委員会 | ・施設内だよりを発行し、地域に向けて広報活動を行う。 ・ホームページを作成し情報公開に努める。 |
給食委員会 | ・充実した食生活を送るために食事について要望、喫食・残食調査、特殊メニューの検討、献立などを考える。 |
レクリエーション・ イベント委員会 |
・季節感が味わえる行事とレクリエーションを計画し実施する。 |
接遇委員会 | ・職員の資質向上を図り、職員相互の理解とチームワークの強化推進を図る。 ・接遇マナーを身につけるための研修を実施する。 ・接遇の重要性を認識し職員全体への周知徹底を図る。 |
排泄委員会 | ・利用者の自立を促すため、適切な排泄介助技術を職員に周知させる。 ・排泄に最適な介助おむつ等を選定し、職員への利用周知を図る。 |
防火管理委員会 | ・防火管理業務の適切な運営を図るため、必要消防計画等の防火管理上基本となるべき事項を協議し、防火知識の徹底、意識の高揚に務め、万一の有事に備え万全を期す。 ・災害に備えて災害防止対策の検討や日常訓練を行い、災害に備えた体制強化を図る。 |
苦情対策委員会 | ・利用者とその家族からの苦情を日常の業務改善に活かして、利用者満足度向上を図る。 ・苦情や申し入れの内容を調査し、必要な対策を講じる。 |